題名をつけるかもしれない随想
名残惜しさを抱えながら また会える日まで前を向く
店主ふたりのリレーエッセイ
何メートルリレーかは決めていませんが バトンを受けたら新しい文章に入れ替わります
8年ぶりに大学時代の友達と会った。子育て中だったり仕事だったり、ただでさえ予定を合わせることが難しく、特に関西から秋田に引っ越してから学生時代の友達に会う機会はほとんどなくなってしまった。会えるときに会っておきたい、そんな気持ちも次第に強くなってきた。
仕事どう?みたいな何でもないおしゃべりしながらお昼ごはんを食べる。その場で焙煎してくれるコーヒー豆屋さんで焙煎を待ちながらコーヒーとおしゃべりを楽しむ。花屋さんへふらっと寄り道し、自宅の玄関に飾る花を選ぶ彼女。古本屋さんで本を発掘し、コーヒーショップでコーヒーを飲みながら買った本を少し読む。こんな絵本あるよ、あんな映画みたよとごくごくささやかなやりとりを交えつつ。本当になんてことのない時間。あっという間だった。別に写真映えもしないし、スパンコールみたいに華やかできらきらもしていないし。側からみたらごくごく地味に見えるかもしれない。でも私にとっては地味ではなく滋味を噛みしめる時間だった。歳を重ねてライフスタイルや立場が変わってきても、一瞬であの頃に戻れるこの能力、自分事なのに他人事のようにすごいなと感心してしまう。彼女は学生時代と全く変わらないとってもいい笑顔だった。私もいい顔になれていただろうか。
再会を願って彼女と駅で別れた。駅は友達とおしゃべりながら帰路につく学生たちで賑わっている。大切な縁が大人になってもずっと続くといいね。見ず知らずの彼ら彼女らにそんな気持ちを勝手に抱きながら、私は久しぶりの阪急電車に揺られている。
花を束ねてあなたを思う 優しくうなずくスイートピーたち
2026.4.23. up
Text & Photograph : Igarashi Mayu
