題名をつけるかもしれない随想
雪が解けたら 春が目覚める
店主ふたりのリレーエッセイ
何メートルリレーかは決めていませんが バトンを受けたら新しい文章に入れ替わります
木々は雪の粉糖をまとう。淡いグレーの空には雪が美しく漂う。雪たちはすぐには地面に落ちたくなくて、きゅっと冷えた空気の中をいつまでも楽しそうにふわふわと踊っている。ふわふわの雪であっても、積もった雪はとたんに重みを増して凶器になりうる。不安と恐怖と美しさを抱えながら、黙々と降り、黙々と積もったこの雪たちがとけるまで私たちは待つ。
ところで雪は『溶ける』のか『解ける』のかどっちなんだろうとふと気になった。例外もあるらしいけれど、とある新聞の取り決めでは、雪(固体)が水(液体)になることを『溶ける』とし、雪の姿が消えてなくなることを『解ける』としているそうだ。
雪とともに暮らしてみると、本当にこの雪って解けるの?と、先が見えない不安が芽生えてくる。桜や菜の花がまだ咲いていなくても、雪の隙間から茶色い地面が少し見えてくるだけで「わあ!春だ!」とちょっと大袈裟な気持ちがぶわわわぁっと込み上げてくるから不思議だ。雪が溶けて川になって流れていくだけが春じゃない。不安をほぐすために春はやって来てくれるんだ。
かちこちのゆきのしたよりかおをだす歓び光る黄色いミトン
2026.2.13. up
Text & Photograph : Igarashi Mayu
